冷え込んだ夜に

2011年11月11日
震災から8ケ月経ちました
昨夜
石油ストーブに灯油をいれておいたほうがいいのか?と旦那さんと相談

結局は「大丈夫だよ、もうこないよ」
という旦那さんの一声でそのままにしておくことに

そのまま眠っていった旦那
私はあることを思い出していました
最近、よく思い出す出来事

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その時、私はまだ小学生だったと思う
私達は夏と冬
父の実家に行くのが毎年恒例になっていた
そして、祖母は必ずおこづかいをくれた
そのお金で近くの電気屋さんで私達はお菓子を買うのだ
その電気屋さんの匂いは、今でも覚えている
そのお店の中の匂いが大好きだった

そして、その日はいつもの様に祖母がまたおこづかいをくれて
みんなでお菓子を買いに行こうという話になった
たまには違うお店に行ってみないかといとこの姉がいいだし

私の母に付き添ってもらい
電気屋さんの向かいの本屋さんに行ってみんなで本を選んで買おう
ということになった
そこの本屋さんはとても古く、置いてある本は限られていたけど
私はその時の気持ちを今でも覚えている

どの本を選ぶかみんな真剣に探し、いとこも私も姉もドキドキワクワクしていた
4人そろって本を選ぶなんてそれが最初で最後だった
そんなことも知らず、どの本にしたの?といとこ同士で話したりして
それを母は黙って笑顔でみていて、私が選んだ本だけは
(私が選んだのは漫画の悪魔の花嫁 笑 昔から変わってる子だったから)
違うのにしたほうがいいんじゃないの?と苦笑していたけど

母も一緒に嬉しそうにしていた
そこにいたみんながみんな、嬉しそうで私は楽しくて仕方がなかった
結局、どの本を買ったのか覚えていない
たぶん、私のことだから漫画だったと思う
そして、私以外のいとこと姉は文字だけの本を買ったとのだ思う

その光景を今もはっきりしと思い出す
みんなで楽しそうに本屋まで歩いていった姿
本を選んでいる姉の真剣な横顔
いとこが笑いながら私と本を選んでいた顔
母の笑顔
さっきも書いたけど、4人一緒にそろって本屋にいくことが

今はもうない

例え4人で本屋に行ったとしてもああいう気持ちになることももうない
4人にはそれぞれ、家族ができたり変化しているから
4人揃って会うことも今では難しくなっているから
そして、大好きだった祖母も今はもういないから

あそこに戻ることもないし
あんな気持ちになることは、もう2度とないんだ

私は胸がはりさけそうで苦しくなった
切ないって言葉以上の切ない気持ちが波の様に襲ってきて
うぅっと息をとめた

それからゆっくり息を吸ってしばらくすると

涙があふれてきた

自分でもどうして涙がでてくるのかわからなかったけど
涙が頬で手にぬぐう程になった

私が泣く時は、だいたい涙がじわっとでてきて
それからどんどんでてくる、泣く準備が出来ている涙なのに

昨夜の涙は違っていて、
息を吸って温かい体温を感じボケっとしていたら
いきなり涙がどわっと溢れてくる
不意打ちな涙だった

準備ができてない割りには
その涙は自分が思っていたよりもすぐ留まった

人は泣く時、一回に涙を流す量は決まっていると
なにかの本で読んだ気がする

元気がでないと本屋へ行くのは
この思い出があるからなのだと

あの頃の様な気持ちに
もう一度、もしかしたら戻れるんじゃないかという期待を

自分の中で薄っすらと本当は
気づいていた

でも、戻れないという事は
はっきりしていた

その答えを
だしたくはなくて
気づかないふりをずっとしていたのだと思う

それに気づいた今
その答えはとても辛いものだったけど
だからかな?

その思い出がまた一段と好きになった
今まで以上にもっと

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